アド・ブロッカーの脅威:メディア業界のこれからに与えるインパクトとは?

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2016/03/02 マネタイズ公式ブログ 

AdSense

従来の新聞や雑誌といった情報発信源を含む、さまざまなコンテンツがオンラインで消費者に届けられるようになった今の世の中。消費者にとっては、より多くの情報を無料または低価格で入手できるという、便利な状況になりました。しかし、企業にとっては、こういったコンテンツをいかに収益につなげていくかが大きな課題となっており、マネタイズの方法を見いだせなければ企業の存続に関わります。そこで今回は、多くの企業がマネタイズの一環として投資を行っているオンライン広告に注目し、その現状とこれからの在り方を考えてみましょう。


消費者はなぜアド・ブロッカーを使うのか?

Question bubble with clip hanging on the line with blue background.
Question bubble with clip hanging on the line with blue background.

 

企業は、各メディアのオンライン化への対策として「オンライン広告」に投資しています。しかしそれに対抗するかのように、消費者の間には「アド・ブロッカー」が普及し始めています。アド・ブロッカーとは、消費者がサイトを訪問する際に、広告が表示されないようにブロックしてしまうテクノロジーのこと。企業にとっては収入源になっている広告が消費者に見てもらえないという大きな問題となっています。アド・ブロッカーの現状とともに、Forbes社が実際に行ったアド・ブロッカー対策とその成果を見てみましょう。

アドテク企業の「Teads」が9,000人を対象に実施した「なぜ、人々はアド・ブロッカーを使用するのか」という調査の結果が2016年1月初旬に発表されました。

この調査によって、人々が最も煩わしいと感じる広告の形態は「プレロール」であることがわかりました。プレロール広告とはユーザーがコンテンツにアクセスした際に、コンテンツを見る前に流れる動画広告で、動画コンテンツで配信されることの多い形態です。実に41%の回答者が、アド・ブロッカーをインストールしたのはプレロール形式の広告が原因だと回答しており、企業が収益を得るために配信している広告が、逆に消費者を広告そのものから遠ざけてしまっているという実態が見えてきました。

また、ポップアップ広告に抵抗を感じる消費者も多く、「ポップアップ広告は煩わしい」と回答したのは88%に上りました。既に、大手出版社の多くはポップアップ広告の利用を停止しており、業界では「ポップアップ広告は消費者に受け入れられない」という認識が定着し始めているようです。

アド・ブロッカーを利用している人に、どのような経緯でアド・ブロッカーを使用することになったか聞いたところ、44%は「友人からその存在を聞いた」と回答。そのうちの26%は口伝えで、残り18%はSNSに投稿されたりシェアされたコンテンツでその存在を知ったそうです。これは、オンライン広告の現状に消費者に不満を抱えており、友人が発信したアド・ブロッカーの情報が、その現状への対策として魅力に見えたということを示しているのではないでしょうか。


Forbes社の挑戦

企業がメディアでマネタイズを行ううえで、広告からの収益はなくてはならない存在です。しかし、上記の調査結果が示唆するように、広告に対してネガティブなイメージを持つ消費者は決して少なくありません。こうした現状を受けて、世界有数の経済誌であるForbes社が行った挑戦をご紹介しましょう。

2015年12月、Forbes社はアド・ブロッカーを利用しているサイト訪問者に、あるメッセージを送りました。その概要は「ここから先に進むためには、アド・ブロッカーをオフにしてください。もしアド・ブロッカーをオフにしてくれたら、その代わりに表示する広告の量を減らすことに同意します」というもの。消費者と正面から向き合う戦略を実行したのです。

その結果、なんと44%近くのユーザーがアド・ブロッカーをオフに。これにより、本来ならブロックされていた広告のうち、1,500万本の広告からのマネタイズに成功したそうです。

カルファルニア州のパームデザートで開催された「Interactive Advertising Bureau’s Annual Leadership Meeting」というイベントでも、この結果が大きな話題となりました。当イベントに参加していた人々は「どうやって消費者とエンゲージするか」、「どうしたらアド・ブロッカーに走ってしまった彼らを取り戻すことができるのか」を話し合っていたそうです。


アド・ブロッカーに対する業界の動きは?

Forbes社の調査結果をもとに、いくつかの企業は今後のアド・ブロッカーへの対策法の模索を始めています。

メディアのエコシステム構成をサポートする「Sourcepoint」や、メディアサービスプロバイダーの「Optimal」では、今回の調査結果を参考に、アド・ブロッカーを使用しているユーザーに企業がメッセージを送れるサービスの提供を計画しています。

また、ユーザーのデジタル体験向上サービスを提供する「Ghostery」でも、同じようなサービスの開始を近々行うとしています。Ghosteryのサービス内容は、FacebookやGoogleを含む500社を超える企業がインターネット上に設置している、消費者の動向トラッカーやビーコンなどを検出するもので、どちらかというと「消費者の味方」というポジションです。

そのGhosteryが実施しようとしているサービスは、自社のサービスを利用している消費者に対しFornes社と同じようなメッセージを掲載し、ユーザーがその内容に同意するかを確認するというもの。同意した場合はそのページに表示されている広告は「ホワイトリスト(スパムでない)」と判断され、その後はアド・ブロッカーにブロックされなくなります。

Ghosteryはこの計画を実施する前に、「ユーザーに対してどういった内容のメッセージを表示するべきか」、「同じようなサービスを提供するSourcepointやOptimalと提携するサイトをユーザーが訪れた場合、これらのサイトが表示するメッセージとGhosteryのメッセージがダブルで表示されないためにはどうすればよいか」といった課題をクリアしなければならないとしています。


企業としてできること

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消費者の多くは、サイトを訪問するたびに表示される過剰な広告や、サイトが訪問者の閲覧履歴を追跡していることに対し、不安や不満を感じているのです。こういった状況のなかで、消費者にアド・ブロッカーをオフにしてもらうためには、企業からの歩み寄りの姿勢が求められます。

Ghorsteryが19,194人を対象に行った調査によると、このうちの40%が「広告やトラッカーがハッキングの被害につながってしまうのではないか」と恐れを抱いているという結果が出ています。また、20%は消費者の動向を探るトラッカーは、サイトのロード時間を遅くしていると感じており、17%はプライバシーの問題があると感じていることもわかっています。

こういった消費者の不安や不満を解消するには、自社の利益ばかりを考えずに、表示する広告や使用するトラッカーとセキュリティ、ユーザー体験のバランスをうまく取っていく必要があるのです。


企業と消費者の両方が納得できる環境作りを

メディアのマネタイズに欠かせない広告収入。企業と消費者の双方が納得できる環境作りを考える時期に来ているようです。いくら広告でマネタイズを目指しても、それが消費者をメディアから遠ざける要因になってしまっては意味がありません。今後、企業としてどういった歩み寄りを行うべきが、一度しっかり考えてみましょう。

参考:
Ghostery to Test Ad-Blocker Appeal Messages|AdvertisingAge
Study: Pre-Roll Ads Dramatically Increasing Ad-Block Installs|AdvertisingAge
Inside Forbes: From ‘Original Sin’ To Ad Blockers — And What The Future Holds|Forbes

ライタープロフィール:
Texas A&M University、経済学部卒。福岡出身、テキサス在住。大学卒業後、化粧品や医薬品の臨床試験を行う米国企業のアジア部署に就職。部署責任者として、世界各国の企業相手にマーケティングを担当していました。

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